脱水予防にカフェイン入りの飲み物は有効?

先日患者さんから「脱水予防にカフェインが入った飲み物を飲んでもいですか?」と質問を受けました。

ご存知の方も多いかもしれませんが、カフェインは利尿効果を有しており、過剰な摂取では体内の水分バランスに影響を及ぼすことがあるかもしれません。

ただし、通常の摂取量では脱水症状を引き起こすことはほとんどないカフェイン入りの飲料も脱水予防に有効というのが結論かと思います。通常量のカフェインは水分排出を若干増やす一方で、全体的な体内の水分バランスに大きな影響を与えないためです。

実際にこれまでも以下のような研究結果の報告があります。

1)   カフェイン摂取量: 1日3〜4杯のコーヒーは、水分補給に寄与し、脱水症状を引き起こさないことが示されています【1】。
2)   カフェイン耐性: 毎日カフェインを摂取している人は、利尿作用に対して耐性(カフェイン耐性)ができ、水分バランスに与える影響がさらに少ないことが示されています【2,3】。

カフェイン入り飲料・その含有量について

煎茶のカフェイン濃度を1 (100mlあたり20mgのカフェイン)とすると

玄米茶 0.5倍 (100mlあたり10mg)

ほうじ茶・ウーロン茶 1倍 (100mlあたり20mg)

紅茶 1.5倍 (100mlあたり30mg)

コーヒー 3倍 (100mlあたり60mg)

といわれています。

麦茶・ルイボスティー・黒豆茶はノンカフェインになります

カフェインの利尿作用のメカニズム・適切な摂取量

カフェインは腎臓の血流を増加させ、尿生成を促進します。しかし、通常のカフェイン摂取量(1日400mg以下)では、これが脱水症状を引き起こすほどの影響はありません。むしろ、カフェインを含む飲料であっても摂取すれば総水分摂取量は増えるため、適度な水分補給を助けます

脱水予防でカフェイン入りの飲み物を摂取する際のアドバイス

1)   健康成人に対して、1日あたり400mg以下のカフェイン(コーヒーなら4杯以下、煎茶やほうじ茶なら2L以下)が推奨されます。過剰な摂取は避けることが大切です。
2)  コーヒーやお茶だけでなく、水やカフェインを含まない飲み物も適度に摂取することが大切です。カフェイン飲料を飲んだ後、水をさらに飲むことで利尿効果を緩和できることが報告されています【1,3】。
3)  運動中や高温環境下など脱水リスクの高い状況では、電解質の入った飲料水での水分補給を行う方が良いでしょう。

カフェインの影響には個人差があるため、一部の人は少量でも利尿作用が強く出ることがあります。上記はあくまで一般論になるため、自分の体質に合った摂取量を見つけることが大切かと思います。

まとめ

適量のカフェイン摂取は、脱水を引き起こすリスクが低く、水分補給にも貢献します。過度なカフェイン摂取をさけ、適切なカフェイン摂取を心掛け、水分バランスを保つことが健康維持に役立ちます。ご不明点や質問がおありの方は当クリニックまでいつでもご相談ください。

参考文献

  1. Grandjean AC, et al. (2000) Journal of the American College of Nutrition.
  2. Maughan RJ, et al. (2016) Caffeine ingestion and fluid balance: a review.” Journal of Human Nutrition and Dietetics.
  3. Zhang, Y, et al. (2014). Journal of Science and Medicine in Sport, 17(6), 659-667.

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