アルコールと熱中症との関係
〜ビールで水分補給?熱中症リスクが高まる飲酒の真実〜
夏はビールが美味しい季節です!
近年異常な暑さが続く中、熱中症予防が大変重要なテーマとなっています。この時期はビアガーデンなど屋外でもキンキンに冷えたビールを飲みたくなる人も多いのではないでしょうか?楽しい夏を過ごす上で、皆で集まっての屋外での飲酒は大変贅沢で有意義なひとときかと思います。
しかしながら、この時期の飲酒による水分補給には熱中症のリスクが潜んでおり、特に今年のように一際暑い夏においては、お酒とうまく付き合う必要がありそうです。
アルコールが熱中症リスクを高める理由
アルコールの摂取は以下の理由から熱中症のリスクが高くなることが報告されています。
- 脱水の促進
アルコールには強い利尿作用があり、体内の水分バランスを崩します。過去の研究によると、アルコール摂取後の尿量は、同量の水を飲んだ場合と比較して約4倍に増加することが示されています[1]。 - 体温調節機能の低下
これまでの研究で、アルコールの摂取が皮膚の血管の拡張を引き起こし、体温調節機能を低下させることが報告されています[2]。これにより、暑い環境下での体温上昇リスクが高まります。 - 判断力の低下
また、アルコールの脳などへの作用で、暑さや脱水に対する感覚が鈍る可能性があることが指摘しています[3]。これにより、適切な水分補給や涼しい場所への移動といった熱中症予防行動が遅れる恐れがあります。
熱中症予防のための飲酒の注意点
- 適量を守る
厚生労働省の指針に基づき、1日の純アルコール摂取量を約20g以下に抑えることが推奨されます[4]。ちなみに20gとは、ビール500ml (中瓶1本)、日本酒180ml (1合)、ウイスキー60ml (ダブル1杯)に相当します。 - 水分補給を徹底する
アルコール飲料と水を交互に飲むなど、意識的な水分補給が重要です。スポーツドリンクなどの電解質を含む飲料も効果的です[5]。 - 暑い環境下での飲酒を控える
気温が25°Cを超える環境では熱中症リスクが高まります。特に暑い日やこの時期の屋外での飲酒は極力控えめにしましょう。
まとめ
この時期の友人や同僚たちとの屋外での飲み会は格別に楽しい時間かと思います。しかしながら、アルコールは熱中症リスクを高める要因の一つであり、特に暑い環境下ではそのリスクが高まります。適量を守り、十分な水分補給を心がけ、お酒とうまく付き合いながらこの夏を楽しく過ごしていきましょう!!
参考文献
- Jung, Y. P., et al. (2013). Journal of the International Society of Sports Nutrition, 10(1), 4.
- Yoda, T., et al. (2005). Alcohol and Alcoholism, 40(2), 121-127.
- Shirreffs, S. M., & Sawka, M. N. (2011). Nutrition Reviews, 69(suppl_1), S121-S131.
- 厚生労働省. (2020). 「健康日本21(第二次)」における節度ある適度な飲酒.
- 日本救急医学会熱中症診療ガイドライン2015改訂版.
- 環境省. (2023). 熱中症環境保健マニュアル.