梅雨と頭痛の関係について

梅雨の季節に頭痛やめまいを経験する方は多いのではないでしょうか?

関東甲信越地方でもすでに梅雨入り宣言がなされました。頭痛やめまいは、気圧の変化や湿度の上昇、気温の変動など、環境の変化によって引き起こされることが知られています。そこで今回は梅雨と頭痛の関係について記載したいと思います。

  1. 気圧の変化と頭痛について

梅雨の時期には、気圧が頻繁に変動します。気圧の低下は、特に片頭痛の発作を引き起こしやすいことが知られています。日本頭痛学会によると、気圧の変動が片頭痛の引き金となることが確認されており【1】、国際頭痛学会の研究でも、気圧の低下が片頭痛の発症率を増加させることが報告されています【2】。

気圧の変化が頭痛を起こす理由は?

気圧が低下すると、体内の圧力とのバランスが崩れ、特に頭蓋内の圧力が変動します。この圧力の変動が、頭痛の原因となることがあります。具体的には、次のようなメカニズムが考えられています:

1).  血管の拡張:気圧が低下すると、体内の酸素供給が減少し、それを補うために血管が拡張します。この血管の拡張が、神経を刺激し、頭痛を誘発します【3】。

2).  脳脊髄液の圧力変動:気圧の低下は、脳脊髄液(脳および脊髄とそれらを包む膜の間に存在する液体)の圧力にも影響を与え、これが頭痛を引き起こす一因となります【4】。

3).  副交感神経の活性化:気圧の変動は、自律神経にも影響を与え、副交感神経が過剰に活性化することで血管が拡張し、頭痛が誘発されることがあります【5】。
  1. 湿度の影響と頭痛について

湿度の高い環境は、体内の水分バランスを崩しやすく、それが原因で頭痛やめまいが発生することがあります。特に、高湿度は血管の拡張を促し、これが頭痛の一因となることが示唆されています【6】【7】。

湿度の高さが頭痛を引き起こすメカニズムは?

1).  水分バランスの乱れ:高湿度の環境では、体内の水分調整が難しくなり、脱水状態になることがあります。脱水は、血液の粘度を高め、血流を悪化させ、これが頭痛を引き起こすことがあります【8】。

2).  電解質の不均衡:汗をかくことでナトリウムやカリウムなどの電解質と呼ばれる物質が失われ、これが筋肉の痙攣や頭痛を引き起こすことがあります【9】。

3).  気温と湿度の相互作用:高湿度と高気温の組み合わせは、熱中症を引き起こしやすく、それが頭痛の原因となることがあります【10】。

4).  アレルゲンの増加:湿度が高いとカビやダニなどのアレルゲンが増え、それがアレルギー反応を引き起こし、頭痛の原因となることがあります【11】。

3. 自宅でできる対策と予防法

これらの症状に対し皆様がご自宅でできる対処法をご紹介します:

1).  規則正しい生活規則正しい睡眠と食事を心がけることで、自律神経のバランスを保ちやすくなります。特に、睡眠不足は片頭痛のリスクを高めることが知られているため、十分な睡眠をとることが重要です。

2).  適度な運動:軽い運動を取り入れることで、ストレスの軽減と血行促進が期待できます。有酸素運動やヨガ、ストレッチなどが効果的です。運動はエンドルフィンの分泌を促進し、自然な痛みの緩和に寄与します。

3).  水分補給こまめな水分補給を行うことで、体内の水分バランスを維持し、頭痛やめまいを予防します。特に、高湿度の環境では汗をかきやすくなるため、水分補給が一層重要になります。

4).  ストレス管理:心理的ストレスを軽減するために、リラクゼーション法や瞑想、深呼吸などの方法を取り入れることが有効です。ストレス管理は、自律神経の安定にも寄与します。

5).  食事の工夫:バランスの取れた食事を心がけることも重要です。特に、マグネシウムやリボフラビン(ビタミンB2)を含む食品は片頭痛の予防に役立つとされています。

4. まとめ

今回は梅雨と頭痛ということでご紹介させていただきました。

この梅雨の時期を乗り切るためには、規則正しい生活、こまめな水分摂取などが重要性がです。片頭痛の方ではマグネシウム(あおさや海苔などの海藻類、干しエビ、あさり、ごま、アーモンド、きなこなど)、リボフラビン(海苔、わかめ、緑茶、抹茶、唐辛子、椎茸、パセリなど)などの摂取が有効とも言われています。少しの工夫でできることを中心に記載しましたので、生活に取り入れてこの嫌な時期を乗り切りましょう!

食事に対するアドバイスやその他生活のアドバイス、お薬の相談などのある方はいつでも当医院へご相談ください。

参考文献
1. 日本頭痛学会 (2020). 気圧の変動と片頭痛の関係について.
2. Prince, P. B., et al. (2004). The Journal of Head and Face Pain, 44(6), 596-602.
3. Chen, T. C., et al. (2010). Cephalalgia, 30(7), 877-881.
4. Bekkelund, S. I., & Albretsen, C. (2007). Current Pain and Headache Reports, 11(5), 365-370.
5. Martin, V. T. (2006). The Journal of Head and Face Pain, 46, S136-S145.
6. 田中, 大輔 (2018). 日本医療学会誌, 45(3), 123-129.
7. Peres, M. F. P., et al. (2001). Cephalalgia, 21(6), 617-622.
8. Olesen, J., & Goadsby, P. J. (2005). In The Headaches (pp. 345-375). Lippincott Williams & Wilkins.
9. Stovner, L. J., et al. (2010). European Journal of Neurology, 17(5), 551-558.
10. Samaan, Z., & MacGregor, E. A. (2005). Expert Review of Neurotherapeutics, 5(3), 365-383.


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