最終更新:2025年10月
末梢神経障害とは?
末梢神経は、脳や脊髄から手足や内臓にのびる細い神経で、感覚や運動の命令を伝えています。この神経が糖尿病・ビタミン不足・腎臓や甲状腺の病気・長時間の圧迫などで傷つくと、しびれ・痛み・力の入りにくさが出てくる状態を「末梢神経障害」と呼びます。足先からじわじわとしびれが広がるタイプ、手だけがしびれるタイプ、片腕だけ筋力が落ちるタイプなどさまざまで、原因も一つとは限りません。しびれが続く場合は早めにご相談ください。
末梢神経障害の最近の考え方
原因がはっきりしているもの(糖尿病・ビタミン欠乏・甲状腺機能低下など)は、原因を治すことで症状が軽くなることがあります。一方で、長期間放置して神経の傷みが進んでしまうと、痛みやしびれが残りやすくなります。そのため「何となくしびれる」「夜だけしびれる」という軽い段階で原因を探すことが大切です。また、脳・脊髄の病気によるしびれと見分ける必要があるため、最初に脳神経内科で範囲や性質をみてもらうと効率的です。
よくみられる症状
- 足の指先から左右対称にしびれ・ほてりが出て、すねのほうへ上がってくる
- 手の親指から薬指だけがしびれ、夜に悪化する(手根管症候群など)
- 物を落としやすい、ボタンをかけにくいなど手先の不器用さ
- 片腕だけ力が入らない、持ち上げにくい
- 焼けるような痛み・電気が走るような痛みが続く
このような症状が数週間〜数か月続く場合は検査をします。
検査について
- 診察でしびれの場所・感覚・筋力を確認
- 血液検査で糖尿病・腎機能・甲状腺・ビタミンB12などをチェック
- 頸椎や手首の画像で圧迫がないかを確認
- 末梢神経伝導検査・筋電図などの精密検査は栃木市内の連携医療機関で実施
「全身の病気が原因か」「一部分だけの障害か」を切り分けるのが目的です。
生活でできること
- 血糖・血圧・脂質を適正に保つ
- アルコールや喫煙を控える
- 足の裏を毎日見て、傷ややけどを早く見つける
- 同じ姿勢を長時間続けない
- 合わない靴・きつすぎる手袋など、圧迫するものを避ける
こうした日常の工夫で悪化を防ぎやすくなります。
薬物療法について
原因が分かっている場合はその治療を優先します。糖尿病性のしびれであれば血糖コントロール、ビタミン不足なら補充、圧迫が原因なら安静・装具・リハビリを行います。症状が強い場合は、神経障害性の痛みに使うお薬でしびれ・痛みを和らげます。症状が変化する病気なので、一定の間隔で状態を見なおすことが大切です。
好生医院の診療の流れ
- しびれの範囲・強さを神経診察で確認
- 血液・画像・神経伝導検査を必要に応じて手配
- 原因に合わせた治療・生活指導
- 定期的に症状の広がりをチェック
地域で続けられるしびれ外来としてご利用いただけます。
よくある質問
Q. しびれは治りますか?
A. 原因がとれる場合は良くなることがありますが、長く続いたものは残ることが多いです。
Q. どの科に行けばいいですか?
A. まず脳神経内科で「脳か末梢か」を見分けると、その後の検査がスムーズです。末梢神経障害の場合には、原因によっては早期に点滴治療を行なった方が良いものもあるので、診察や血液検査で判断させていただきます。
Q. 市販のビタミン剤でもいいですか?
A. 軽い不足ならよいこともありますが、血液検査で本当に不足しているか確認したほうが確実です。
