最終更新:2025年10月
パーキンソン病とは?
パーキンソン病は、脳の中でドパミンという物質を出す神経細胞がゆっくり減っていくことで、体を動かす指令がスムーズに伝わらなくなる病気です。中高年での発症が多く、手足のふるえ(安静時振戦)、動作が遅くなる(寡動)、体がこわばる(筋強剛)、バランスがとりにくくなる(姿勢反射障害)といった症状が徐々にそろってきます。初期は「年齢のせい」「肩こり」「便秘」と間違われやすく、気づかないまま時間がたつこともあります。栃木市・壬生町周辺で、片側の手だけふるえる・歩き出すのに時間がかかるといった変化があれば、早めの受診をおすすめします。
パーキンソン病の新しい考え方
パーキンソン病は進行性ですが、現在は薬の種類が増え、早期に診断して適切に治療を始めることで、日常生活を長く保てるようになってきました。症状は運動症状だけでなく、便秘・立ちくらみ・睡眠の質の低下・嗅覚低下などの「非運動症状」も含めて評価することが重要とされています。また、薬の効き方が時間で変わる(オン・オフがある)ことも分かっており、定期的に薬の量・飲み方を見直すことが推奨されています。つまり「診断して終わり」ではなく、「診断後にどのくらい細かく診ていくか」で生活のしやすさが変わります。
日常での観察ポイント
- ふるえ:何もしていないときに出るか、片側から始まっていないか
- 歩行:歩幅が小さくなっていないか、手の振りが減っていないか、方向転換がしづらくなっていないか
- 手先の動き:ボタンがかけにくい、字がだんだん小さくなる(小字症)
- 表情・声:表情が乏しく、声が小さくなっていないか
- その他:便秘・立ちくらみ・においが分かりにくい・夜間に起きる、などが増えていないか
変化がゆっくりなので、ご家族の気づきも大切です。
検査について
診断の基本は問診と神経学的診察ですが、当院では神経内科専門医による診察をお受けいただけます。症状の出方・左右差・歩行を確認し、薬や脳血管障害による似た病気を除外します。必要に応じて以下を行います。
- 頭部MRI:脳梗塞やほかの変性疾患がないか確認します。
- DATスキャン(ドパミントランスポーターSPECT):初期で診断がつきにくい場合の補助として行います。
- 血液検査:ほかの内科的疾患がないかを確認します。
これらの画像検査は栃木市内の連携医療機関で実施し、結果を当院でまとめてご説明する形にできます。
生活でできること
パーキンソン病の治療では、薬だけでなく生活の工夫も重要です。
- 毎日少しでも体を動かす(歩行・ストレッチ・関節を大きく動かす体操)
- 転倒しにくい環境づくり(段差を減らす・手すりをつける・暗いところをなくす)
- 便秘対策として水分・食物繊維をとる
- 起床時や入浴時の急な立ち上がりを避ける
こうした小さな工夫で、症状の負担を軽くできます。
薬物療法について
症状が日常生活に影響している場合は、薬を使います。中心となるのはドパミンを補うレボドパ製剤(ドパコール・ネオドパストン・マドパー・メネシットなど)で、効果が分かりやすい薬です。若い方・仕事を続けている方・症状の時間差が大きい方では、ドパミンアゴニスト、MAO-B阻害薬などを組み合わせて、効き目が安定するようにします。病気の経過とともに効き方が変わることがあるため、「効く時間が短くなった」「朝が動きづらい」と感じたら、薬の調整が必要です。自己判断で減らしたりやめたりせず、受診時にご相談ください。
好生医院の診療の流れ
- 症状の聞き取り・診察
- 必要に応じて近隣の医療機関でMRI・DATスキャン
- 薬の選択と生活指導
- 定期的な通院で症状の変化と薬の効きを確認
栃木市以外からの受診ももちろん可能です。
よくある質問
Q. 手がふるえるだけでも受診していいですか?
A. 様子を見るより受診をおすすめします。ほかの病気のこともあるためです。
Q. DATスキャンは必ず受けますか?
A. 診察で典型的と判断できる場合は患者さんの負担も考慮し、必ずしも行いません。はっきりしない場合だけ行います。
Q. 運動はしてもいいですか?
A. むしろ転ばない範囲で続けたほうがよいです。
